2012年10月22日月曜日

労働者派遣法の改正によって望まれること


平成24年10月1日、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(いわゆる労働者派遣法)が改正されました。
その目的は、「派遣労働者の保護のため」につき、そのことは、法名を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改正したこと、派遣労働者の保護が目的に明記されたことに明確に表れています。

そもそも、「労働者派遣」とは、簡単に言えば、労働者が派遣元企業と雇用契約を結び、派遣元企業と労働者派遣契約を結んだ派遣先で、派遣先企業の指揮命令のもと労働に従事することをいいます(労働者派遣法2条1号)。         

このような労働者派遣は、多様な雇用形態を望む労働者側・企業側双方のニーズを満たすものとして発展してきましたが、ときとして労働者の立場が弱く、不安定なものとなってしまっていました。私自身,派遣社員として働いたことはありませんが,友人などからはいろいろな不満の声を聞いてきました。
実際に,派遣労働者実態調査結果の概況(厚生労働省)においては、①派遣元への要望として「賃金制度を改善してほしい(61.6%)」、「継続した仕事を確保してほしい(33.5%)」、②派遣先への要望として「正社員として雇用してほしい(33.0%)」、「指揮命令系統を明確にしてほしい(24.7%)」といった意見が寄せられています。
 
今回の改正は、①派遣元企業のマージン率や教育訓練に関する取組状況などが分かるようになる,②派遣元企業は待遇に関する事項の説明をする,③派遣先企業の社員との(賃金などにおける)均衡が配慮される,④期間の定めのある雇用から定めのない雇用への転換が進められることなどを内容とするもので,ある程度は現在までの派遣労働者の現況、不満に対応しているように思われます。

今後は、派遣労働者の増加に伴いその労働環境の改善が強く求められますが、法によるバックアップを基本としつつ、使用者・労働者双方が高い意識をもって労働市場を動かしていく必要があるのではないでしょうか。


弁護士 S  

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